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独立 6

「順子、大丈夫かい」
永沢さんの声で、気が付いた。

縄を解かれ、身体の上には布団がかけられていた。
半身を起そうとするが、脱力していて、すぐには起き上がれない。

永沢さんは、すでに身支度を終えていた。

「今度は、再来週の土曜日、今日と同じ時間、同じ場所で。予約確認の電話を入れるから。僕は、予定があるから、悪いけど、先に帰らせてもらうよ。この部屋、1時間、延長しておいたから、ゆっくり身支度して帰りなさい」

「すいません。ありがとうございました」

半身を起して、そう言うのが、やっとだった。

シャワーを浴びて、股間を洗い、アナルプラグのついた股間ベルトを締めて、服を着る。
乱れた髪と化粧を直し、バッグを取り上げようとしたら、外ポケットに2つ折りにした1万円札が1枚入っていた。
料金の3万円は、前払いでもらっているのでタクシー代のつもりだろう。

電話をかけて、「帰ります」と告げる。
外はもう夕方の気配になっていた。

母屋の玄関に鍵を返しに行くと、先ほどの無表情な年配の女性が出てきた。

「お世話になりました」
「門を出て左に行ったら、じきに駅に出ます」
頼みもしないのに、道を教えてくれる。

「すいません。なんという駅ですか?」
「・・・石川台です」
「え~と、たしか池上線?」
「そうです」
「ありがとうございます」

会釈して、玄関を出ようとした。

「お嬢さん、あなた、駄目ですよ」

声に振り向く。
「は?」
「あなたのようなお商売をするのなら、自分の居場所をちゃんとわかっていなくちゃね。男の人の言われるままに連れていかれたら、危ないですよ」

そう言う女性の表情は、先ほどより和らいでいた。

「はい、そうですね。気をつけます」

「ここ、もう古くなったので、来年には壊してしまうのですけど、それまでで良かったら、またいらっしゃい。少しだけど、戻しますから」

「はい、じゃあ、またお世話になるかもしれません」

「戻す」ということは料金のことだろうか?と思いながら、門を出る。
門柱に「緑風苑」と書かれた小さな表札が出ているのに気が付いた。

時計を見ると、まだ6時前。
ここからなら、六本木に出て、どこかで休憩を兼ねて食事をしてから、街を流そう。
そう決めると、私は石川台駅への道を歩き始めた。

(了)


comments

リンクさせていただきました。

変態人妻のMIKAです。

素敵な順子さんの告白。
これから少しずつ拝読させていただきます。

魅力的で淫らな身体の順子さんが、今年も素敵な体験を重ねてますます魅惑的な快感の深みに溺れていけますよう。

心よりお祈り申し上げます。

懐かしい

このホテルの近くに住んでました。
お話の時期がわかります。
今はマンションかな…

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プロフィール

風祭順子

Author:風祭順子
10年前まで、男性として大学講師をしていました。
その後、女装マゾの世界に溺れ、とうとうニューハーフ娼婦に堕ちました。
約8年間、毎週2~3日、娼婦として男性の性欲のお相手をする日々を過ごしました。

このブログでは、「なぜ、私は堕ちたのか?」、そのいきさつを書いてみようと思います。
画像は、4年前の私の姿です。

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