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新しい生活2

1998年3月26日(木)

新しい生活になって、いちばん変わったこと、それは仕事ではない。

アナル娼婦としての仕事は、独り立ちしてからでも1年近く続けていたから、それほど大きな変化ではなかった。
もちろん、専業になってそれなりに力は入れるようになったが。

いちばんの変化は、日常的にずっと女性の姿でいられることだ。
もう、無理をして男の姿をする必要がなくなったことが、生活面でも精神面でもいちばん大きかった。

朝といっても昼近くに起き、シャワーを浴びて化粧して、カジュアルなファッションで昼過ぎの街に出る。
たいていは、(新宿)3丁目まで歩いて、少し遅めのランチを食べる。

平日で午後に予約が入っていない日で、お天気が良い日や必要な買い物があるときは、「伊勢丹」や新宿駅南口の「ルミネ」まで足を伸ばすこともある。

ランチの後は「紀伊国屋書店」に寄って本を買い、3丁目の喫茶店でコーヒーを飲みながら、のんびりした時間を過ごすことも多い。

そして、夕方近くにマンションの部屋に戻り、身体の内外を洗い、化粧を濃い目に直し、服を着替えて、夜の仕事に備える。

そんな日常になった。

今日も、3丁目の中華料理店のランチを食べた後、新宿通りを駅の方向に歩いていた。

「すいません。ちょっといいですか」と声がかかった。

何かのスカウトかなと思い振り向くと、30歳くらいの若いビジネスマン。

「あの・・・先週の金曜日だったか、夜中にこのあたり歩いてませんでしたか」
「はい・・・たぶん・・・」

なんだ、夜中、流していたのを見られたのか・・・。
「ニューハーフさんですよね」
「はい」
「売ってるんですか?」

そこまでわかっているのなら、話は早い。

私はバッグから名刺入れを取り出し、名前とPHSの番号が書いてある営業用のカードを渡した。
「私に興味があるのなら、夕方、ここにお電話ください」
と言って、歩きだした。

すると、男が追ってきて、
「すいません。夕方は時間がなかなか空かないんです。今じゃあ、駄目ですか?」
と言う。

時計を見ると、14時過ぎ。
まあ、いいか。
こういう時のために、外出するときは必ず極太のアナルプラグを装着しているし、バッグの中にはコンドームと潤滑液、それにマウスウォッシュの小瓶を入れてある。

「ホテル代別で、2時間2万円ですけど、いいですか?」
「OKです」

私は、タクシーを止めて男と同車すると、運転手に「歌舞伎町2丁目、ホテル街の奥の『サボイ』お願いします」と告げた。

(続く)

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プロフィール

風祭順子

Author:風祭順子
10年前まで、男性として大学講師をしていました。
その後、女装マゾの世界に溺れ、とうとうニューハーフ娼婦に堕ちました。
約8年間、毎週2~3日、娼婦として男性の性欲のお相手をする日々を過ごしました。

このブログでは、「なぜ、私は堕ちたのか?」、そのいきさつを書いてみようと思います。
画像は、4年前の私の姿です。

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