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夏の終わり 2

「自分、Sと言います」

助手席に乗るなり、男が礼儀正しく自己紹介してきた。
普通なら「お姐さん、いくら?」と聞かれる場面なのだけど・・・。

戸惑いながら、
「じゅんこです。順番の順・・・」

「ああ、順子さんね。弟の嫁さんと同じ名前だ」

まるで普通にナンパされたみたいな感じで、なんか調子が狂う。
でも悪い感じではない。

「順子さん、さっきどこかのラブホテルから出てきたばかりだろう。また逆戻りも変だから、僕の部屋でいい?」

ラブホを出て、すぐに声を掛けられ、またラブホへというパターン、今までにも何度もあった。
でも、初対面でいきなり自宅というのは・・・初めてだった。

どう返事しようかと思っていたら、

「世田谷だから、そんな遠くないから」

そんな会話をしているうちに、車は明治通りから甲州街道に入り、西へ走る。

甲州街道から脇道に入る。
電柱の住居表示に「松原」とあった。
ということは、京王線の明大前駅の近くだ。

車は、いかにも高そうなマンションの地下駐車場に入った。

車を降りて初めてSさんがとても背が高いことに気づく。
9cmヒールを履いている私よりかなり高い。
180cmを楽に越えている。

案内されたのは10階の一室。
広いリビングからは、東京の夜景が美しく見渡せた。
いわゆる「億ション」なのだろうなと思う。

ただ、妙に生活臭はない。
セカンドハウスかもしれない。

革張りのソファーに腰を下ろすと、Sさんが、コップにオレンジジュースを注いでくれる。

なんか間が持てなくて、
「すてきなお部屋ですね」
と私。

「ありがとう。昼間、晴れてれば富士山が見えるよ」

いけない、このままだと、まったりくつろいでしまう。
私は、仕事に来たんだ。

「シャワー、お借りしていいですか?」

バスルームに案内される途中、リビングの隅に飾り棚があった。
たくさんのトロロフィーや記念楯が置かれている。
目に入った文字と、Sという名前が頭の中で重なった。

彼は、私でも名前を知っている、元プロ野球選手だった。

(続く)

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また期待しています

また順子さんの素敵な体験が始まるようですね。続きから目が離せません。

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プロフィール

風祭順子

Author:風祭順子
10年前まで、男性として大学講師をしていました。
その後、女装マゾの世界に溺れ、とうとうニューハーフ娼婦に堕ちました。
約8年間、毎週2~3日、娼婦として男性の性欲のお相手をする日々を過ごしました。

このブログでは、「なぜ、私は堕ちたのか?」、そのいきさつを書いてみようと思います。
画像は、4年前の私の姿です。

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