スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
夏の終わり 2
「自分、Sと言います」
助手席に乗るなり、男が礼儀正しく自己紹介してきた。
普通なら「お姐さん、いくら?」と聞かれる場面なのだけど・・・。
戸惑いながら、
「じゅんこです。順番の順・・・」
「ああ、順子さんね。弟の嫁さんと同じ名前だ」
まるで普通にナンパされたみたいな感じで、なんか調子が狂う。
でも悪い感じではない。
「順子さん、さっきどこかのラブホテルから出てきたばかりだろう。また逆戻りも変だから、僕の部屋でいい?」
ラブホを出て、すぐに声を掛けられ、またラブホへというパターン、今までにも何度もあった。
でも、初対面でいきなり自宅というのは・・・初めてだった。
どう返事しようかと思っていたら、
「世田谷だから、そんな遠くないから」
そんな会話をしているうちに、車は明治通りから甲州街道に入り、西へ走る。
甲州街道から脇道に入る。
電柱の住居表示に「松原」とあった。
ということは、京王線の明大前駅の近くだ。
車は、いかにも高そうなマンションの地下駐車場に入った。
車を降りて初めてSさんがとても背が高いことに気づく。
9cmヒールを履いている私よりかなり高い。
180cmを楽に越えている。
案内されたのは10階の一室。
広いリビングからは、東京の夜景が美しく見渡せた。
いわゆる「億ション」なのだろうなと思う。
ただ、妙に生活臭はない。
セカンドハウスかもしれない。
革張りのソファーに腰を下ろすと、Sさんが、コップにオレンジジュースを注いでくれる。
なんか間が持てなくて、
「すてきなお部屋ですね」
と私。
「ありがとう。昼間、晴れてれば富士山が見えるよ」
いけない、このままだと、まったりくつろいでしまう。
私は、仕事に来たんだ。
「シャワー、お借りしていいですか?」
バスルームに案内される途中、リビングの隅に飾り棚があった。
たくさんのトロロフィーや記念楯が置かれている。
目に入った文字と、Sという名前が頭の中で重なった。
彼は、私でも名前を知っている、元プロ野球選手だった。
(続く)
助手席に乗るなり、男が礼儀正しく自己紹介してきた。
普通なら「お姐さん、いくら?」と聞かれる場面なのだけど・・・。
戸惑いながら、
「じゅんこです。順番の順・・・」
「ああ、順子さんね。弟の嫁さんと同じ名前だ」
まるで普通にナンパされたみたいな感じで、なんか調子が狂う。
でも悪い感じではない。
「順子さん、さっきどこかのラブホテルから出てきたばかりだろう。また逆戻りも変だから、僕の部屋でいい?」
ラブホを出て、すぐに声を掛けられ、またラブホへというパターン、今までにも何度もあった。
でも、初対面でいきなり自宅というのは・・・初めてだった。
どう返事しようかと思っていたら、
「世田谷だから、そんな遠くないから」
そんな会話をしているうちに、車は明治通りから甲州街道に入り、西へ走る。
甲州街道から脇道に入る。
電柱の住居表示に「松原」とあった。
ということは、京王線の明大前駅の近くだ。
車は、いかにも高そうなマンションの地下駐車場に入った。
車を降りて初めてSさんがとても背が高いことに気づく。
9cmヒールを履いている私よりかなり高い。
180cmを楽に越えている。
案内されたのは10階の一室。
広いリビングからは、東京の夜景が美しく見渡せた。
いわゆる「億ション」なのだろうなと思う。
ただ、妙に生活臭はない。
セカンドハウスかもしれない。
革張りのソファーに腰を下ろすと、Sさんが、コップにオレンジジュースを注いでくれる。
なんか間が持てなくて、
「すてきなお部屋ですね」
と私。
「ありがとう。昼間、晴れてれば富士山が見えるよ」
いけない、このままだと、まったりくつろいでしまう。
私は、仕事に来たんだ。
「シャワー、お借りしていいですか?」
バスルームに案内される途中、リビングの隅に飾り棚があった。
たくさんのトロロフィーや記念楯が置かれている。
目に入った文字と、Sという名前が頭の中で重なった。
彼は、私でも名前を知っている、元プロ野球選手だった。
(続く)
comments
また期待しています
また順子さんの素敵な体験が始まるようですね。続きから目が離せません。
comment form
trackback