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客を取る 2

年の瀬も押し詰まった12月27日、坂崎さんから電話が入った。

「1月3日は空いているか?空いてたら、その日が仕事はじめだ」
「はい、大丈夫だと思います」

「来年から客を取らせるからな」と言われていたものの、もう少し後のことだろうと思っていたので、少し焦ったけども、「都合が悪いです」とは言えなかった。

年が開け、その日が来た。

「あまり派手な格好はするなよ」と坂崎さんに注意されていたので、黒のキャミソールの上に、黒と黄色のカーディーガン、スカートは黒のタイトミニ、網タイツにショートブーツ、シルバーグレーのフェイクファーのハーフコートという、私としてはおとなし目のコーディネートにした。

約束の時間は16時。15分前に歌舞伎町の靖国通り沿いの「珈琲貴族」という喫茶店に入り、運良く空いていた窓際の席に座り、テーブルの上に目印の赤いハンカチを置く。

そろそろ約束の時間という頃、年配の男性が店に入ってきて、私のテーブルに近づき「順子さん?」と声をかけた。
見上げながらうなずくと、レシートを取り上げながら、「ほな、出よか」と言う。

50歳過ぎの少し頭が薄くなった丸顔の男性。

まだ完全にお正月の雰囲気の歌舞伎町を北に上がり、ラブホテル街へ。
2,3軒目で「ここでいいやろ」と言われ、後についてホテルに入る。

部屋に入ると男性はコートを脱ぎ、内ポケットの札入れから万札2枚を抜き、「これで、いいんやったな」と私に渡す。
そして、「先に浴びさせてもらうで」と浴室に消えた。

いかにも、こういう場は慣れているという感じだ。

私は、PHSで坂崎さんに電話を入れる。
「今、ホテルに入りました。歌舞伎町の『ノマド』というホテルです」
「了解。大事な最初の客だ、しっかりな。終わったら連絡を忘れるな」

浴室から出てきた男性の背中をタオルでぬぐう。
「あんたは?」と言われたので「失礼します」と言って、浴室へ。

服を脱ぎ、アナルプラグ付きの股間ベルトを外し、シャワーで股間の中と外を軽く洗い、潤滑液をアナルに塗りこむ。

上半身は服の下に着けていたカップレスの黒のコルセットだけ。
下半身は、赤と黒のガーターベルトを付けて、バックシームの黒ストッキングを吊る。
そして、どうせすぐに脱ぐことになる、黒レースのTバックショーツを履く。

鏡の中に、黒い下着の一人の娼婦が立っていた。

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プロフィール

風祭順子

Author:風祭順子
10年前まで、男性として大学講師をしていました。
その後、女装マゾの世界に溺れ、とうとうニューハーフ娼婦に堕ちました。
約8年間、毎週2~3日、娼婦として男性の性欲のお相手をする日々を過ごしました。

このブログでは、「なぜ、私は堕ちたのか?」、そのいきさつを書いてみようと思います。
画像は、4年前の私の姿です。

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